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外国人材採用

外国人材エンジニア採用でおさえるべきポイント 外国人材エンジニア採用でおさえるべきポイント

外国人材エンジニア採用でおさえるべきポイント
|おすすめの国や注意点も解説

外国人材エンジニア採用でおさえるべきポイント
|おすすめの国や注意点も解説

エンジニアの採用において、外国人材の採用を検討している企業が増えています。

DX化などが進んだことによってエンジニアの需要は高まり、日本人だけを対象にしていては以前にも増して必要数を確保することが困難です。

そこで、エンジニア職を中心に外国人材採用を積極的に行う企業が増えています。
ただ、外国人材を採用したいと思っても、「どこの国の人材が適切か?」「採用や受け入れに際して注意すべきことは?」など、おさえておくべき情報は多岐にわたります。

この記事では、エンジニア職を中心とした外国人材採用で注目されている国、外国人材を採用するメリット・デメリット、注意点などをまとめてお伝えしていきます。

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外国人材エンジニアの採用が増えている背景は「人材不足」

コロナ禍を経て、外国人材採用に関する相談が増えています。

ほとんどは日本国内に居住する外国人材を中途採用したいという相談ですが、中には海外に住む外国人材を積極的に募集している企業もあります。企業からの相談内容は外国人材の募集手法・雇用条件・受け入れの方法・どの国でどのような人材が採用できるか、など多様です。

企業からの相談が増えている理由は、一言でいうと「人材不足」ですが、すでに採用を行っている企業は次のようなメリットを感じています。

外国人材エンジニアを採用する3つのメリット

  1. ITなど高度な専門性を獲得できる
  2. 外国人材の採用をきっかけに組織の多様性が高まる
  3. 海外の顧客や従業員とのコミュニケーションが円滑になる


これらは日本人エンジニアを採用するだけでは得られないメリットです。それぞれについて以下詳しく解説します。

メリット1. ITなど高度な専門性を獲得することができる

外国人材採用に関する相談で、最も多いのは「IT人材を採用したい」という相談です。社会の急速のデジタル化にともない、今後国内では10万人規模で“デジタル人材”が不足すると言われています。

一方、世界では、人口増加局面にある新興国を中心に、毎年150万人を超える数のデジタル人材(IT専攻の卒業生)が産み出されています。中には日本文化や日本企業に対する強い関心や愛着をもち、日本ではたらく機会をうかがう人材もいますので、うまく採用することができれば様々なメリットを組織にもたらします。

メリット2. 外国人材の採用をきっかけに組織の多様性が高まる

外国人材の採用には「すぐに辞めてしまうのでは―」、という懸念が付きまといます。一方、社内文書の英訳・人事相談窓口の開設・就業規則の改定など、外国人材の受入れに万全を期している企業では、既存の外国人材の活躍が次なる外国人材の採用成功に結び付く場合も少なくありません。

「ダイバーシティ&インクルージョン」すなわち多様性を受け入れ、その特性を活かす組織運営の必要性が叫ばれるいま、外国人材のパフォーマンスを最大化する環境作りは、日本人従業員の多様性(価値観やジェンダー・働き方など)を許容・活用し得る環境作りにも結び付きます。

メリット3. 海外の顧客や従業員とのコミュニケーションが円滑になる

海外進出や海外事業の拡大は、企業が外国人材採用を始めるきっかけとなります。英語や中国語を得意とする人材の不足を補い、海外の顧客や現地法人からの問い合わせに対応したり、現地の販路を開拓する際に、外国人材は貴重な戦力となります。

また、製造業などで海外現地法人の従業員を日本本社に招いてトレーニングを行う場合、日本語を話すことができない現地人材に対してもその学びや生活をサポートすることができれば、トレーニング効果に加えて会社への愛着を育むことにもつながります。

外国人材エンジニアを採用する際のデメリット3つ

「デメリット」とまではいえないにせよ、外国人材を採用するためには十分に気を付けなければならない留意点が確実に存在します。

  1. 意思疎通の不全
  2. 変革に痛みがともなう
  3. 組織のトラウマ


ここであげるデメリット・留意点は日本人材・外国人材の働き方や見えない壁によるものです。それぞれの項目について、以下より詳しく解説します。

デメリット1. 意思疎通の不全

どれだけ日本語が得意な人を採用したとしても、外国人材とのコミュニケーションには言葉のカベがあります。語彙や文法だけでなく、文化や宗教の違いによる「前提条件の違い」を乗り越えてコミュニケーションを完結させることは難しいものです。

例として、職場に外国人材が1人いるケース・複数人いるケース2つをあげます。

1つ目の例が、職場に外国人材が1人だけいる例です。よほど注意をしなければその外国人材は情報難民となり、場合によっては事業方針と異なる活動や職場ルールに反する行動を無意識のうちにとっていることがあります。それに対して日本人従業員から「外国人材は協調性に欠ける、ルールを守れない」という誤ったレッテルが貼られてしまうと、相互に幸せな結果を招きません。

2つ目の例は、複数の外国人材が存在する組織のケースです。この場合、無意識のうちに日本語が得意な人材に情報や仕事が集中してしまうことがあります。本来は能力の高い人がアサインされるべき職務や役割を「日本語が得意な人」が担っている状態は健全とは言えません。

ここで挙げたような2つの状況は、外国人材にとって強いストレスにもなり得るということを忘れてはなりません。しかしそのストレスを受け止めるべき人事部の相談窓口においても、言葉のカベによって100%の思いや事情を理解されることがないのです。

デメリット2. 変革の痛み

外国人材の受け入れを行うため、会社によってはさまざまな変化を余儀なくされます。会議や実務上のコミュニケーションで英語を用いる必要が生じたり、時に人事(報酬)制度の改定やレポートラインの変更といった組織運営に大きな影響を与える変化が起こる場合もあります。

人によってはこれらの変化に強いストレスを受けることもあり、適応できない人や抵抗する人が現れ、先述したデメリット1の「意思疎通の不全」の原因となることがあります。

デメリット3. 組織のトラウマ

意思疎通の不全は、日本人材・外国人材相互にとってのストレスや、仕事上の不便を生み出し、時にそれが従業員の退職の原因になります。そして大抵の場合、辞めるのは“少数派”である外国人材です。

必要があって採用した人材が辞めると、また別の外国人材が採用されます。しかし退職の原因となった事象が除去されていなければ、次に採用した人も辞めてしまいます。
採用・退職を何度も繰り返してしまうと、いずれそれが「外国人材を採用してもすぐに辞める」といった認識が組織のトラウマとして定着します。
ここで述べた3つのデメリットは、外国人材の採用を始めるほとんどの企業が一様に通る道です。募集や受け入れを始める前には、経験豊富な専門家や経験者の話に十分に耳を傾ける必要があります。
外国人材エンジニアの採用を検討している多くの企業様の海外人材サポートを行ってきたJAC海外進出支援室までご相談ください。

外国人材エンジニアの採用で注目の国

外国人材の募集を始めるにあたり、どの国にどのような人材が存在するかということや、日本で働くことを希望(許容)する人材がどの程度いて、彼らが何を動機として来日するのか、などを正しく認識しておくことが重要です。

そんな中で、実際に採用が行われることが多い「注目の国」をご紹介します。

  1. ベトナム
  2. 中国・タイ・インドネシア
  3. 3. 日本


実際に外国人材エンジニア採用につながったケースが多く、日本企業で働くことを希望されていることが潜在的にも多い国です。

外国人材エンジニア注目国1. ベトナム

たとえば「ソフトウェアエンジニア」を募集する場合、ベトナムやマレーシアなどASEAN先進国で探すのが現実的です。シリコンバレーに代表されるように、米国には最先端のIT人材が数多くいますが、今の経済環境下の日本での就職を希望する人は、ほとんどいません。

一方、ベトナムは平均年齢が29歳と若く、地理的な近さに加え、親日であることも採用の追い風となります。最近ではKポップや韓流ドラマなどで韓国文化にあこがれる若者が増え、以前ほど親日であることは表面上目立たなくなっていますが、若者の意思決定に大きな影響を与える親世代に親日派が多いことが、ベトナムの若者の来日を後押ししていることはあまり知られていない事実です。

外国人材エンジニア注目国2. 中国・タイ・インドネシア

「ハードウェアエンジニア」を募集するとしたら、日本の製造業が多数進出している国がターゲットとなり得ます。すなわち、進出日系企業数が多い中国・タイ・インドネシアなどです。日本企業が多数進出しているということは、当然日本企業(現地法人)で働いた経験をもつ人材が多いということであり、そういった国々では日本語学習者数も多いためです。
タイやインドネシアなどでは最近、中華系・韓国系などアジアの大企業が数多く進出し、日本企業との取引を円滑に行うために日本語人材を積極採用していることから、採用競争は激化していることは覚悟しておく必要があります。

外国人材エンジニア注目国3. そして日本

外国人材を採用するとして、最も現実的なのは日本国内で募集することであるのはいうまでもありません。中でも「営業系」「管理系」の人材であれば、日本に留学している文系の学生を対象とすると比較的、採用しやすいです。

外国人留学生の就職活動における内定取得率では、理系学生の方が文系学生に比べて常に高く、新卒採用戦線において理系の留学生の人気が恒常的に高いことがわかります。

また留学生の文系・理系比率はおおむね7:3ですが、中途採用市場にいる外国人材は50%が理系(当社データベースより)であることから、先述の新卒採用市場の状況も含め、日本で長く働くチャンスは圧倒的に理系人材に多いです。すなわち、文系人材は比較的、採用しやすいということです。

最後に「研究開発系」の人材は、国別というよりは、まず大学や企業のターゲティングを行うべきです。
専門分野ごとに専攻者が多い大学や、グローバル企業の研究開発拠点がどこにあるかを調べます。当然のことながらその分野の専門家はその“場所”にいます。
併せて、学術分野ごとの日本の位置付けを知っておくことも重要です。分野によっては日本国内にこそ優秀人材が集積する分野がある一方で、各国の企業が採用をもくろんでいる分、獲得競争が熾烈であるという現実もあります。

外国人材エンジニアを採用する際の注意点3つ

ここまで、外国人材採用のメリット・デメリット、注目国を解説してきました。最後に、外国人材採用を行う際の技術的な注意点について3つ述べます。

  1. 日本語力に引っ張られない
  2. "2次面接のカベ"に注意する
  3. ビザ取得・契約条件は専門家のお墨付きをもらう


日本人材を採用する場合とは異なり、主に上記3つを注意する必要があります。それぞれについて、以下解説していきます。

注意点1. 日本語力に引っ張られない

選考の初期段階で注意すべきことは、応募書類に書かれた文章や面接の受け答えで、日本語の誤りに敏感にならないことです。逆にいえば、日本語が堪能な人材を職務能力が高いと錯覚しないことです。

職務能力を書類と面接だけで見極めることが難しいのは日本人も同じです。しかしそれでも合否を判定できるのは、さまざまな質問を通してその人の情報(判断材料)が得られるからです。

ある程度は日本語を話すことができる人であったとしても、無意識な質問をしていては同じ時間で得られる情報は少ないはずです。 そのため、面接を行う際には日本人に対するコミュニケーションで用いるよりも簡単な言葉や言い回しを用いるように努めるとともに、通常よりも少し長めに時間を確保しておくとよいでしょう。

簡単な言葉・言い回しのポイント
  • ●できるだけ簡単な言葉を選ぶ(例:ご記入ください⇒書いてください)
  • ●一文は短くする(一文に言いたいことは1つだけ、3つ以上のことを言うときは箇条書きにする)
  • ●二重否定や受動態などわかりにくい表現を避ける
  • ●外来語(カタカナ語)はできる限り使わない(例:スキーム⇒計画、コンセンサス⇒合意など)

引用元:文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」

注意点2. “2次面接のカベ”に注意

特に中堅中小企業では、外国人材採用は「社長の一声」で始まることが多いものです。それに従い人事部は急いで候補者を集め、1次面接を行って比較的日本語力に難がなく、優秀そうな候補者を合格させます。

次に、配属部門の部長が2次面接を行うのですが、ここでは、当然のことながら「自部門に配属された時にお互いにうまくやっていけそうか」という極めて現実的な判断がなされます。ところが、驚くほど高い割合で「優秀な人だとは思いますが・・・」と、不合格となるのです。

2次面接官である部長は、当然のことながら社長の方針(今後の国際化に備えた外国人材採用)を理解し、納得し総論には賛成しているものの、直接マネジメントを行う課長やチームメンバーとの相性などの各論を理由に、慣れない外国人材採用に二の足を踏むのです。そして最終面接を行うはずの社長のもとには、いつまでたっても候補者が現れません。

このようなことにならないよう、募集を行う前に経営者・人事部門・配属部門の三者が集まり、どのような人材をどのような目的で採用し、どのような受け入れ態勢を敷くのかなどについて十分に協議し、目線を合わせておく必要があります。

注意点3. ビザ取得や契約条件は専門家のお墨付きを

選考が進み、採用内定の前後になってくると、法的な手続きを意識する必要が出てきます。海外在住の人材を採用する場合は入国許可証(ビザ)の発行手続きや、すでに日本に居住する人材であったとしても在留資格の変更手続きが必要な場合があります。

ここで必要なことは事前に専門家の指導や助言を受けておくことです。専門家とは公式な資格を有する人であり、決して"ただ詳しい人"であってはなりません。
英文の雇用契約書を求められた際にも、ただ英語が得意な人が安易に英訳したものを渡すのは万が一の場合に揉めるもとになります。
すでに契約している行政書士や弁護士が外国人材の雇用に強くない場合は、別途頼りになる専門家を探しておくのをおすすめします。

まとめ

外国人材エンジニア採用を行うにあたっての背景、メリット・デメリット、おすすめの国、注意点について解説してきました。 大切なことは、以下3つです。

  1. 募集を行う前に十分な情報収集をすること
  2. 適切な選考を行う技術や手順を身に付けること
  3. 受け入れに万全を期すこと


JAC Recruitmentのコンサルタントは、さまざまな国籍や勤務歴(日系・外資系、海外の現地企業など)を有する多様な人材の転職相談を日々お受けしています。経験やスキル(ハード面)のほか、キャリア形成についての意向や人物的な特性などのソフト面についても把握した上で最適な人材をご紹介しています。

また、実際に募集を始める前の情報収集や要件定義の段階からお手伝いをさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

この記事の著者

この記事の筆者

佐原 賢治

海外進出支援室 室長


大学卒業後、一貫して「人材採用」に関する業務に従事。現在はJAC Recruitmentのマーケティングスペシャリスト、およびアナリストとして活動中。専門分野は『日本企業のグローバルビジネスと人材戦略』で、年間4~500社の経営者・海外事業部長・人事部長らとお会いして、国内外における人材採用に関するコンサルテーションを行なっている。また同テーマに関する定期的なリサーチを行ない、その結果をメディアや自治体・金融機関等が主催するセミナー等で発表している。

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