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人材戦略

第2回.海外進出と人材確保「海外事業の進化と必要な人材の変化」 第2回.海外進出と人材確保「海外事業の進化と必要な人材の変化」

第2回.海外進出と人材確保
「海外事業の進化と必要な人材の変化」

本コラム『グローバルビジネスと人材戦略』では、海外進出企業が押さえておくべき人材確保の要点を、5回にわたって解説しています。

海外進出と人材確保シリーズ(全5回)

  1. 日本企業の海外事業の進化 ~3つの発展段階
  2. (本記事)海外事業の進化と必要な人材の変化
  3. 初めての海外進出、人材はどう手配するのか
  4. 人材確保で注意すべきポイント5選
  5. 日本企業の成功事例とその要因

海外進出企業にとって、国内外での人材獲得競争は事業の成否に一層大きな影響を及ぼすようになっており、「採用力」を高めることが急務です。

前回の「海外進出と人材確保1. 日本企業の海外事業の進化 ~3つの発展段階」では、その進化のプロセスを「グローバルビジネス1.0~3.0」といった諸段階に分け、その段階ごとに新たに必要となる人材について紹介するとともに、海外進出の初期段階から計画的な人材確保を行う必要性について述べました。

特に近年は、大企業を中心に海外進出の新形態ともいうべき「グローバルビジネス3.0」、すなわち世界中から最適なリソースを獲得して果敢に国際競争に挑む企業が増加し、それにともない研究開発(R&D)や投資家向け広報(IR)といった一部の職種の求人が急増するなど、採用市場にも変化が現れています。

この記事では、海外進出の際に必ず意識しておきたい「海外事業の進化と必要な人材の変化」について解説しました。

海外進出のポイント:デジタル化やパンデミックにともなう環境変化

前回の記事で「グローバルビジネス3.0」になると企業が国境を越えて最適な経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)やビジネスパートナーを求める動きをすることをお伝えしました。

研究開発(R&D)・投資家向け広報(IR)以外でも、「3.0」の段階では、「2.0」の段階では必要がなかった部署(職種)にまで英語力や国際対応力が求められるようになります。そして、近年もっとも需要が伸びているデジタル分野も例外ではありません。

デジタル化・DX化で後れをとっている日本

デジタル化(デジタイゼーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)は、もはや止めようがない大きな流れとなってビジネスや生活を変えていますが、残念ながら、それに必要なデジタル技術で日本は諸外国に劣後していると言われています。

スイスの国際経営開発研究所(IMD)が 9 月に発表した「世界デジタル競争力ランキング 2022」によると日本は29 位という結果になりました。この順位は、米国・スウェーデン・シンガポール・スイスといったデジタル先進国はもちろん、韓国(8 位)・台湾(11 位)・中国(17 位)といったアジア新興国からも大きく後れをとっています。

参考:「世界デジタル競争力ランキング2022」国際経営開発研究所(IMD)



このことから想像するに、IT技術に関する最先端の情報・事例は日本以外の国に、しかも日本語以外の言語(恐らく大半は英語)で存在しているのではないでしょうか。

仕事内容にもよりますが、最先端技術を用いたビジネスを推進するための要員が、もし英語を苦手としていたら、その人は求められるアウトプットを行うための十分なインプット(英語での情報取得や海外の企業や研究機関との交渉・英語話者との人脈形成など)ができないということを意味します。

いうまでもなく、不十分なインプットで十分なアウトプットを行うことはできません。そしてこれは、IT以外の先端分野でも同じことです。

リモートワークの一般化から海外に居住する人材への需要も増えている

デジタル化と並んで無視できない環境変化は伴うリモートワークの普及です。

これまで、少なくとも日本においては育児や介護との両立といった“例外”への対応にすぎなかったリモートワークは、コロナ禍によって急速に一般化し、人々のワークスタイルを大幅に変えるとともに、もはやその可否が人材確保の成否を左右するようにすらなっています。

それに伴い当社にも、最先端分野のより優れた人材を確保するため、居住地不問(通勤不要)の求人がわずかながら寄せられるようになってきました。また、その少し前から、先に述べた高度IT人材の募集を行う企業からは、海外に居住する人材を積極的に対象とする求人も出始めています。

海外進出のポイント|もはや“全国大会”は開催されない?

旧来のビジネスは、本社が位置する地域の金融機関から融資を受け、会社から 1 時間以内の距離に住む従業員を雇い、自社内にある技術や知識を用いて、比較的短時間で納品が可能なサプライヤーから仕入れた部品を使って作られた製品を、本社周辺の市場に販売する、という構造でした。これがいわゆる“地方大会”です。

この“地方大会”を勝ち抜いた企業は、国内の他の商圏に営業所や工場を設けたり都市部に本社を移転したりして“全国大会”に出場します。そしてそこで一定の実績と能力を培った後に、いよいよ海外進出、すなわち“世界大会”へと 参戦したものです。

ところが、昨今の日本企業は海外進出が難しくなってきています。

日本のモノ作りの優位性は低下している

かつて、モノ作りの高い技術を有する我が国企業は、レベルの高い全国大会を勝ち抜くと、比較的有利に世界大会で戦うことができました。しかし、前述したように今や先端技術で劣後する日本企業が、単独で世界と肩を並べて戦っていくことは以前ほど簡単ではありません。

また、海外進出を行うための資源をもたないことを理由に、国内大会だけを戦えばよいと考えることも危険です。国内大会(国内市場)には、逆に高い競争力を持つ外資系企業が参入しているので、それは世界大会の一つのゲームが国内のスタジアムで開催されているにすぎないのです。

デジタル化とリモートコミュニケーションを前提とし、また貿易や投資の自由化が進んだ新たな時代においては、もはや“地方大会”どころか“全国大会”すら開催されなくなります。もはや“近くにある”ということだけではこれまでの受注は保証されない可能性があるということです。

日本企業が存続するには海外進出が必須の時代

製品開発だけでなく、資金調達でも海外を視野に入れる企業は増えています。

スタートアップ企業で、日本の証券市場に上場する前にシンガポールや香港の市場への上場を果たす例がいくつもあることや、英文で決算情報を開示する企業が増えていることは、ビジネスの重要資源であるカネ(資金)の調達においても、もはや“世界大会”を意識せざるを得ないという現状を表しています。

すなわち、極論すれば企業が存続(持続的成長)するために好む好まざるに関わらず世界大会への参戦が欠かせない時代だということです。これが、先述した「ビジネス競争の勝敗は、この国境を越えたリソース獲得競争によって決まる」ということです。

海外進出に必要なのは「仕事」も「英語」もできる人材

近年、操業と同時に海外進出をする(海外進出を前提に操業する)スタートアップ企業は目に見えて増加しています。 そして、これから“世界大会”を戦う(戦わざるを得ない)海外進出企業において、その勝敗を分かつ一つの重要な要素は人材確保です。進化の過程やスピードは各社(業界)各様であり、また決して先の段階に進んだ企業が勝者であるとは限りませんが、一つ確実にいえることは、ビジネスの進化に伴い次々と「それまでは必要がなかった人材」が必要となるということです。 そして、多くの場合それは“シゴトもエイゴもできる人材”です。

多くの海外進出企業が、“シゴト力”と“エイゴ力”のトレードオフに頭を痛めていることは前回のコラムで述べた通りです。もし、海外進出の初期段階でそのことを予見することができていたら、状況は今とは大きく違ったはずです。

過去を取り戻すことはできませんが、次に高度な英語力が必要になるのはどの部署・機能か、今から先回りして考えて準備することは、将来に向けて非常に重要なことです。

海外進出のポイントまとめ

海外進出以降のビジネスの進化とそれに伴う要員の変化についてお伝えしてきました。人口減少や高齢化といった理由から、日本企業が海外に目を向けることなく持続的に成長することは難しくなっています。

しかし、海外進出をすれば安泰かというと決してそうではありません。ビジネス環境の変化にともない事業そのものを進化させ、またそのために必要な人材を遅れなく確保する必要があるのです。

次回からは、当社の取引先である海外進出企業の採用シーンで実際に目にすることや、海外進出企業に対するインタビューの結果などを踏まえて、人材採用の各論を掘り下げていきます。

この記事の著者

この記事の筆者

佐原 賢治

海外進出支援室 室長


大学卒業後、一貫して「人材採用」に関する業務に従事。現在はJAC Recruitmentのマーケティングスペシャリスト、およびアナリストとして活動中。専門分野は『日本企業のグローバルビジネスと人材戦略』で、年間4~500社の経営者・海外事業部長・人事部長らとお会いして、国内外における人材採用に関するコンサルテーションを行なっている。また同テーマに関する定期的なリサーチを行ない、その結果をメディアや自治体・金融機関等が主催するセミナー等で発表している。

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