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外国人材採用

「研究者」の高度外国人材採用は可能? 「研究者」の高度外国人材採用は可能?

高度外国人材採用の重要論点―第3回
「研究者」の高度外国人材採用は可能?

高度外国人材採用の重要論点―第3回
「研究者」の高度外国人材採用は可能?

 相談

「研究開発体制を強化するべく研究者を増員したいが、日本人だけでは充足できそうにない。高度外国人材の採用は可能でしょうか?」

 回答

結論から言うと、可能です。

どのように採用するかとともに考えなければならないことは、「どこで採るか」「どのような人材を採るか」です。
しかし、最も重要なことは、自社の受入れ体制を冷静に把握し、将来に向けた方向性を明確にすることです。

技術的な要件(専攻や実務経験)に加えて、コミュニケーションのインフラ(組織としての外国語対応力)が重要な検討材料となるということです。

「どこで採るか」「どのような人材を採るか」について、以下詳しく回答していきます。

高度外国人材をどこで採るか?どの地域に分布しているか把握する

まずどこで採るかについては、《第1回:外国人採用を行うにあたりどの国・地域の人材がターゲットになる?》でも述べたように、どのような技術分野の人材がどの地域に分布しているかを冷静に把握することが必要です。

どれだけ良い腕や餌をもっていても、タイは川では釣れず、海でアユを釣ることもできません。

しかし、国を挙げてIT人材の育成を行う近年のベトナムやインドでは、急激に供給(IT人材)が増加している一方で、需要(求人)もまた、それ以上の勢いで増加しています。
そのような環境では、国内でいくつもの選択肢(いずれも好条件)に恵まれるため、わざわざ国外(日本)に目を向ける必要がありません。
どこに存在するかはイメージしつつも、決めつけ過ぎないこともまた重要です。
このように「高度外国人材をどこで採るか?」については欲しい技術分野の人材がどの地域に分布しているか把握することが大事です。

どのような人材を採るか?即戦力性と語学力がカギ

次にどのような人材を採るか?について考える上で重要な軸は、「成熟度(即戦力性)」と「語学力」です。
(技術要件については需要が生じた時点ですでに決まっているのではないかと思います)

まず「成熟度(即戦力性)」は、どの程度育成が必要かということを表します。また「語学力」は、具体的には日本語力と英語力です。
「語学力」について考えるということは、育成も含め、関係者の語学力を踏まえて募集要件を決めるということにほかなりません。

日本語が苦手な人材に日本語しかできないトレーナーが指導をすることはできませんし、実務上の関連部署や、人事や総務といった職場生活をサポートする部署とのコミュニケーションにも断絶や滞りがあってはなりません。
外国人材を積極募集している企業で、「部署内のコミュニケーションは100%英語で完結できます」と明言されている場合も、意外と部署を離れると英語でコミュニケーションができない企業は多いものです。

そのため、育成がどの程度必要かどうかという「成熟度(即戦力性)」、日本語力・英語力など「語学力」を併せてイメージしておくことが重要です。

まとめ

これまでの経験上、外国人材の採用がうまくいっている会社とは、すなわち受け入れ環境に合致した人材を採用している会社です。

「公用語は日本語」と明確に方針を示した上で、外国人材には手厚い日本語教育を行なっている企業や、逆に外国人材の本格受け入れを組織の国際化のきっかけとするというトップの決断のもと、日本人従業員の英語力強化や社内文書の英訳を一気に進めた会社もあります。

そして昨今、外国人材採用や人材の国際間異動(グローバル・モビリティ)を進めるインフラとして人事制度を「ジョブ型」へと移行しようとしている企業も増えています。
また外国人材の受け入れをシミュレーションするということは、社内に「特定の誰かにとって不具合となることはないか」という想像をはたらかせることにもなります。

もし外国人材にとってパフォーマンスを制限する要因が存在するとしたら、それを改善することがダイバーシティ&インクルージョンを進めることにつながる場合もあるのではないでしょうか。

「なぜ高度外国人は
すぐに辞めてしまうのか」
動画は こちらから ▶

この記事の著者

この記事の筆者

佐原 賢治

海外進出支援室 室長


大学卒業後、一貫して「人材採用」に関する業務に従事。現在はJAC Recruitmentのマーケティングスペシャリスト、およびアナリストとして活動中。専門分野は『日本企業のグローバルビジネスと人材戦略』で、年間4~500社の経営者・海外事業部長・人事部長らとお会いして、国内外における人材採用に関するコンサルテーションを行なっている。また同テーマに関する定期的なリサーチを行ない、その結果をメディアや自治体・金融機関等が主催するセミナー等で発表している。

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