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外国人材採用

各社の事例に学ぶ高度外国人材採用の重要論点-第1回 各社の事例に学ぶ高度外国人材採用の重要論点-第1回

高度外国人材採用の重要論点―第1回
外国人採用は、現実的にどの国・
どの地域がターゲット?

高度外国人材採用の重要論点―第1回
外国人採用は、現実的にどの国・どの地域がターゲット?

ケース-1:産業機械製造(従業員数:300~1,000名)

 相談

外国人材採用を行うにあたり、どの国・地域の人材が現実的なターゲットとなるでしょうか。
職種別(IT系、研究開発系、営業系など)に教えてください。

 回答

コロナ禍を経て、外国人材採用に関する相談は増えています。
しかしそのほとんどは日本国内に居住する外国人材を中途採用したいというものであり、海外に住む外国人材を積極的に募集しておられる企業は、まだ極めて少数です。

さて、どの国にどのような人材が存在するかという観点に加え、その中で、日本で働くことを希望(許容)する人材がどの程度いて、彼らが何を動機として来日するのか、を正しく認識しておくこともまた、非常に重要です。

例えば「ソフトウェアエンジニア」ですと、ベトナムやマレーシアなどASEAN先進国で探すのが現実的。シリコンバレーに代表されるように、米国には最先端のIT人材が数多くいますが、今の経済環境下の日本で就職する人は、ほとんどいないでしょう。

また「ハードウェアエンジニア」は日本の製造業が多数進出している国がターゲットとなり得ます。例えば、中国、タイ、インドネシア、ベトナムなどです。 日本企業が多数進出しているということは、当然日本企業(現地法人)で働いた経験をもつ人材が多いということであり、そういった国々では日本語学習者数も多いためです。また、募集対象が若者であれば、親世代の対日観も影響します。

一方、「営業系」、「管理系」の人材であれば、日本に留学している文系の学生を対象とすると比較的、採用しやすいでしょう。
外国人留学生の就職活動における内定取得率では、理系学生の方が文系学生に比べて常に高く、新卒採用戦線において理系の留学生の人気が恒常的に高いことがわかります。 また留学生の文・理比率は概ね7:3ですが、中途採用市場にいる外国人材は50%が理系(当社データベースより)であることから、先述の新卒採用市場の状況も含め、日本で長く働くチャンスは圧倒的に理経人材に多いと言えます。
すなわち、文系人材は比較的、採用しやすいということです。

最後に「研究開発系」の人材は、国別というよりは、まず大学や企業のターゲティングを行うべきです。
専門分野ごとに専攻者が多い大学や、グローバル企業の研究開発拠点がどこにあるかを調べます。当然のことながらその分野の専門家はその“場所”にいます。
併せて、学術分野ごとの日本の位置付けを知っておくことも重要です。分野によっては日本国内にこそ優秀人材が集積する分野がある一方で、各国の企業が採用を目論んでいる分、獲得競争が熾烈であるという現実もあります。

おわりに―――

外国人材採用に関する数多くの相談をお受けしている中で、意外にもその採用が手段なのか目的なのかが明確でないケースが少なくありません。
「特定の職種・タイトルの求人を充足させるため」(=外国人材採用は手段)であれば、その要件を満たす外国人材は現実的に採用が可能なのかを冷静に判断しなければなりませんし、逆に組織や人材の多様化を促進するために「外国人材の数・比率を増やしたい」(=外国人材採用が目的)という場合には、どのような人材なら採用が可能か、受け入れや戦力化が可能なのはどの部署か、といった観点から採用ターゲットを決めるべきです。

一方、採用のゴールは「入社」ではなく、その人材が「活躍」し、「定着」することであることは言うまでもありません。
そのためには、「日本語がほとんどできない人でも、職場生活に支障がない環境を作ること」「相手の宗教・信仰上の習慣を制限しないこと」「外国人材に限らず、多様な人材が能力を発揮・開発できるよう人事諸施策をアップデートすること」など、募集や選考雇用条件の設定といった採用実務の課題を超えて、全社レベルで検討すべき論点も多いです。具体的な採用計画・募集活動の前工程として、“壁打ち”のお手伝いが必要な際は、ぜひお気軽にお声掛けください。

この記事の著者

この記事の筆者

佐原 賢治

海外進出支援室 室長


大学卒業後、一貫して「人材採用」に関する業務に従事。現在はJAC Recruitmentのマーケティングスペシャリスト、およびアナリストとして活動中。専門分野は『日本企業のグローバルビジネスと人材戦略』で、年間4~500社の経営者・海外事業部長・人事部長らとお会いして、国内外における人材採用に関するコンサルテーションを行なっている。また同テーマに関する定期的なリサーチを行ない、その結果をメディアや自治体・金融機関等が主催するセミナー等で発表している。

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