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インド転職動向 インド転職動向

日本企業の
インドでの採用・定着のポイント

日本企業の
日インドでの採用・定着のポイント

経済成長が著しいインドでは、年々賃金が上昇しています。 インド日本商工会とJETROが行っている賃金実態調査によると、中途で人材を採用する場合には、前職の基本給与から20%~30%昇給させていると回答している企業が37.1%と最も多く、一方で昇給率はスタッフクラスで10.4%となっています。
そのため、多くのインド人は給与を上げていくために3年ほどで転職を繰り返します。
また同調査の勤続年数を見ても、実績・見込みともに約6年と、日本(約17年)の約3分の1となっており、インド人材を採用することも定着してもらうことも難しいということが伺えます。
そこで今回は、日々インドに進出する日系企業の採用のサポートを行っているJAC Recruitment Indiaが、インド人材の採用と定着のポイントについて解説します。
※参照元:JCCII・JETRO 2023年度第17回賃金実態調査
2023 年度賃金実態調査概要

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日本の常識をインドにそのまま当てはめようとしないこと

ランチ

まず日本の採用の常識をインドにそのまま適用しないことです。
採用の場面において、つい日本の常識に当てはめて採用活動をしていませんか?社会環境や求人マーケットが日本とインドでは異なるため、当然仕事・就職に対する価値観も日本人とは異なります。
日々お話をする日系企業からは、「せっかく採用するのであればより長く働いてくれる人を採用したい」というお話をよく耳にします。確かに、採用したのであれば、より長く働いてほしいと思うことは当然だと思います。
しかし、インドでは給与・キャリアアップを求めて数年に一度仕事を変える人がほとんどです。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、日本の平均勤務年数が12.3年に対してインドでは6.3年(インド日本商工会とJETRO調査)と約半分の年数となっています。
そのため、辞めないような人を採用しようとするのではなく、自社の魅力づけを行い、入社後には仕事を通してどのような成長できるのかを一緒に考え、ともに成長する伴走的な考え方に変えることが必要です。
辞めない人を採用しようと意識し過ぎると、優秀な人を見逃してしまうことにもなりかねません。

※参照元:JCCII・JETRO 2023年度第17回賃金実態調査
2023 年度賃金実態調査概要

※参照元:独立行政法人労働政策研究・研修機構 早わかり グラフでみる長期労働統計 図13-1 平均勤続年数
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0213_01.html

給与に対するこだわりを判断基準にしないこと

街並み

次に、インド人の方々にとって、給与(お金)の優先順位が非常に高いことを受け入れることです。
日本では、今月の給与がないと生きていけないといった逼迫した状況に陥ることは多くないと思います。
しかしインドでは家族や兄弟のサポートのためにどうしてもお金が必要である人が一定数います。そのような環境に置かれている人に対して、今後のキャリアパスやキャリアプランの話をしてもギャップが生まれてしまいます。
インド人の中には、給与(お金)が第一である人がいることを受け入れ、評価する判断基準にしないことが必要です。
候補者がお金の話ばかりをするからと言って、それを理由に不合格にしないよう意識することが大切です。

また、基本的にインドの人々は給与が上がらないと転職はしません。
インドの転職市場では、一般的に転職時に20~30%ほど年収が上がるため、現年収と同額で採用することは非常に難しいと考えておいた方がよいでしょう。

定着のポイント

街並み

定着率を上げるためのポイントは、長く活躍してほしい人に対して「どのように成長してもらいたいか」に関して密にコミュニケーションをとることです。
具体的に、来年はどのステージ、ステップを目指していく、といった目標を常に共有していくことが大切です。
また、自発的に業務ができる環境づくりが重要となります。 一方的に業務を与えるだけではなく、自分たちで考えてもらい、それに対してある程度の裁量権を与えてコミットしてもらえるような環境をつくることで、本人たちのモチベーションが高まり、会社への定着にも繋がります。
しかし、これらのポイントを押さえられていたとしても、マーケットに沿っている給与を支払っていることが大前提となります。
適切な給与を支払ったうえで、キャリアに関するコミュニケーションを密に取ることと、自発的に業務ができる環境作りを意識してみてください。

おわりに

今回は日本企業のインドでの採用、またインド人材の定着のポイントについて解説しました。
JAC Recruitment Indiaは、北部グルグラムと南部バンガロールの2拠点で現地日系企業の人材採用をお手伝いしています。
採用時のご相談はもちろん、進出の計画段階で賃金相場など労働市場の情報が必要な場合は現地の日本人コンサルタントとの打ち合わせをセットさせていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください。

こちらの記事でまとめたことを動画でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

海外駐在員の離職予防のキーワード"自律的キャリア形成"とは?
動画は こちらから ▶

この記事の著者

この記事の筆者

小林 美紗

海外進出支援室 アドバイザー


日系大手機械メーカーの人事部で新卒採用担当として大学・高専卒、外国人留学生などの採用、受け入れに携わった後、資材調達部に異動し、コネクタ、ワイヤーハーネス、アルミダイキャストなどの国際調達を行なった。 2022年より現職。グローバル企業における実体験を活かして海外事業要員確保に関する助言を行なうほか、人材確保に関する国内外での調査を行なう。 大学での研究テーマは「多文化接触論」。カナダへの留学経験(1年)と中学校・高等学校の教員免許を持つ。

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