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外国人材採用

「研究者」の高度外国人材採用は可能? 「研究者」の高度外国人材採用は可能?

高度外国人材採用の重要論点―第4回
ベトナム人材に長く定着してもらうには?―

高度外国人材採用の重要論点―第4回
ベトナム人材に長く定着してもらうには?―

 相談

「初めての外国人材(ベトナム人材)採用ということもあり定着に少し不安を感じています。
せっかく来てもらったので長く定着してもらいたいのですが、アドバイスをお願いしたいです」

 回答

  1. ベトナムの人材マーケットを把握すること
  2. ベトナムの文化や習慣に興味・関心を持つこと
  3. ミスコミュニケーションを減らす工夫をすること
  4. プライベートな話に踏み込んでみること
  5. 家族(特にご両親)を気にかけること

①ベトナムの人材マーケットを把握すること

ベトナム=新興国=日本に比べて魅力な仕事が少ない=雇ってあげていることに感謝しているはず(感謝するべき)、という時代錯誤な感覚ではベトナム人に限らず高度外国人材を雇用し、よい関係を築くことはできません。

たとえば、ベトナムでは国を挙げてIT人材の育成を行っており、コンピューターサイエンスを学んだ学生の数はすでに日本よりも多くなってきています。
世界中の企業がベトナムを含めアジアの若手ITエンジニアを探している中、彼らには国の内外で実に多くの選択肢があります。そこをあえて日本に来てくれているということを忘れてはなりません。
そのことは直接ベトナムに行けば容易に肌で感じることができますが、今はYouTubeやX(旧Twitter)などでも多くの情報が発信されているので、まずはそういったものを通して現状を確認してみてください。

②ベトナムの文化や習慣に興味・関心を持つこと

オフィスにベトナムの国旗や地図を飾る、これだけでも「私はあなたの国に興味があります」というシグナルになります。またランチでべトナム料理を食べる週を作ったり、テト(ベトナムの祝日)をカレンダーに追加してその日になったら社員にメッセージを発信したりするのも効果的です。

また、ときに日本人には理解できないような行動を取ったとしても、文化や習慣を知っているとその行動の意図が理解できるようになったりします。
これは私が体験した例ですが、ベトナム人社員が通勤で使用していたバイクにいたずらをされてしまった際、上司はまずは警察に連絡をした方がいいと伝えましたが、彼はそれに反発したそうです。上司は、彼が何か警察に連絡を取りたくないやましい理由があるのではないかと不審に思ってしまいましたが、これは決して彼にやましい理由があったわけではありません。
ベトナムでは警察に対する信頼が日本と違い、警察に連絡しても何もかわらない、という認識が彼の中であったため、警察に連絡するより早くバイクを修理して仕事に行った方がいいと思ったのです。
このように、“ベトナムと日本の警察に対する認識の違い”ということを知っているだけで行動への解釈が大きく変わり、不要な誤解を防ぐことに繋がります。

③ミスコミュニケーションを減らす工夫をすること

ベトナム人社員とのコミュニケーションは多くの場合、日本語か英語で行われます。いくらそれが堪能な人でも、初めから何の行き違いもなくスムーズに業務を進めることは難しいでしょう。業務上のミスコミュニケーションは「ベトナム人だから」と放置することなく極力それを減らすような工夫をするべきです。

たとえば、業務中や1on1ミーティングでの会話を録音して、本人がどの言葉(表現)を十分に理解できなかったかを振り返ってみることは有効です。もちろんそれは、彼にその言葉を勉強してもらうことももちろんですが、「もっとうまく伝わる言い方はなかったか」を話者である日本人が反省することも目的です。
仕事において完璧な日本語は必要なく、先輩や上司と通じ合える日本語力があれば十分なのです。そのため、日々先輩や上司が使っている日本語の中で何が理解できていないのか?を振り返ってもらうことで、同じミスコミュニケーションを避けることに繋がります。
これは日本人側も同様で、自分の発した言葉の何が理解してもらえていないのか?を確認してみてください。そのようにして、お互いに届きやすい日本語を作りあげていってみてください。
特に直属の上司やメンターなど、職場で一番コミュニケーションを取る人と意思疎通ができていると感じる事が、ストレスを減らし、安心感を高めることになります。

④プライベートな話にもう一歩踏み込んでみること

ベトナムの人は一般的にプライベートな話を聞かれることが嫌ではありません。むしろプライベートな話に踏み込んでくれないと、自分に興味がないのだと感じてしまいます。
日本人は、特に上司との関係性において、まず仕事を通した関係性ができた後に個人としての関係性を作りたい、と考える人が多いと思いますが、ベトナムでは全く逆です。
ベトナムの人とは、まず個人としての関係性ができないと、仕事上でも信頼関係を築くことはできません。個人として信頼関係が出来て初めて「この人と一緒に働きたい、この人のために仕事をがんばりたい」となるのです。
日本人の感覚としては少し違和感があるかもしれませんが、彼らはプライベートとビジネスの境目があまりないのです。そのため、まずは彼ら自身を知ることから始めてみてください。SNSをフォローするのも良いと思います。
恐れずにプライベートな質問をたくさんして、同時にあなた自身のことも知ってもらってください。

⑤家族(特にご両親)を気にかけること

ベトナムの人にとって、家族はとても重要な存在です。特に両親の存在はとても大きく、人生の意思決定(就職を含む)に両親の意見が大きく反映されます。
そのため、会社が家族に気にかけているというシグナルを送ることで「この会社は家族も大切にしてくれる良い会社だ」と本人も家族も感じてくれます。
具体的には、「ご両親はお元気ですか?」と声掛けをしてみたり、オンラインでオフィスツアーなどを行うことも良いでしょう。

ベトナム人材に定着してもらう方法まとめ

本稿では、外国人材(ベトナム人材)の定着のポイントについてお伝えしました。
具体的な行動(各論)も大事ですが、まずはベトナムやベトナム人材に興味関心を持つことが最も重要です。相手の育ってきた環境や文化を理解・尊重しようとする気持ちは日々の態度から必ず相手に伝わります。
人と人として関係性を築くには時間がかかりますが、その気持ちや姿勢なしに長くよい関係を気付くこと、すなわち「定着」はあり得ません。

この記事で紹介した5つのポイントを元にベトナム人材と良いコミュニケーションを築き、定着率をあげてください。

この記事の著者

この記事の筆者

加藤 将司

シニアアドバイザー


中国・上海師範大学卒業。大手人材サービス会社での人材採用業務、ベトナムで人材紹介ビジネスの立上げを行った後、2012にJAC Recruitment Vietnam の立上げのためにJAC Recruitmentに入社。2013年からJAC Recruitment Vietnamの社長を務める。
主に日系ベトナム現地法人向けに管理職層を中心とした人材紹介を行うとともに、社長として、ホーチミン、ハノイの2拠点、約 30名の組織のマネジメントを行う。

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