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人材戦略

海外駐在員の作り方 海外駐在員の作り方

海外駐在員の作り方 ~
行きたい人を現実的な海外駐在要員に
するために必要なこと5選

海外駐在員の作り方 ~
行きたい人を現実的な海外駐在要員にするために必要なこと5選

多くの企業が「語学はできるけど、経験が足りない」「経験はあるけど、語学力が足りない」と、駐在員を選ぶ際に苦悩しています。

海外で働くことを嫌がる人も多い中で、もし「語学もできて意欲もあるけど、まだ経験・スキルが足りない」という人がいるのであれば、それは将来的な海外駐在要員としてしっかりと繋ぎ留め、大切に育て上げたいものです。

今回は、語学力も意欲もある若手従業員を、現実的に「海外駐在のプール人材」へと育成するために「社内にいる駐在員候補を駐在員まで育成するために必要な要素5選」をお伝えします。

 海外駐在員の作り方5選

  1. プロジェクトマネジメント経験をする
  2. 社内でのネットワーキングを拡げる
  3. 社外の価値観に触れる
  4. 簿記3級レベルの会計知識
  5. 英語以外の語学習得

「行きたい人」を現実的な海外駐在要員にするための上記5つです。ぜひ参考にしてください。

海外駐在員の作り方1. 
プロジェクトマネジメント経験をする

海外駐在員のミッションを一言で言うと、現地法人や現地事業の「マネジメント」です。海外駐在に管理職以上の人が派遣されるのはそのためです。

仮にマネジメントのポジションで派遣されていなかったとしても、ナショナルスタッフの指導や、日本本社との連絡窓口といったマネジメント的な役割を担っている、ということはよくある話です。
そのため、海外駐在員にマネジメント経験は不可欠と言えますが、20代のうちに管理職としてのマネジメント経験を積むことができる人は稀でしょう。

しかし、「組織マネジメント」の経験はさせられなくても、「プロジェクトマネジメント」であればどうでしょう。
チーム内の小さなプロジェクトであっても、自分自身がプロジェクトを主体となって進める経験というのは、マネジメント経験の第一歩に繋がるはずです。

小さいプロジェクトに慣れてきた様子であれば、今度は部を横断したプロジェクトに挑戦する機会を提供してみてください。少しずつ規模を大きくしていくことで、役職に就いていなくても十分にマネジメントの経験を身に付けてもらう(或いは適性を判断する)ことができるはずです。

海外駐在員の作り方2. 
社内でのネットワーキングを拡げる

ビジネスパーソンにとって、社内で顔と名前を覚えてもらい協働できる仲間を増やすことは大切ですが、駐在員として海外に派遣された際には業務の幅が広がり、時に未経験の職務にチャレンジすることが求められるため、サポートしてくれる社内人脈が一層重要になります。

特に重要になるのは海外経験のある方とのネットワークを拡げること。なぜなら、海外駐在経験がある方たちは、多かれ少なかれ同じような経験をしたことがあるからです。

多少面倒なお願いであったとしても、「あの頃自分も同じように苦労していたな」と思い手を差し伸べてくれるはずです。社内の海外駐在経験者と候補者を繋ぐ懇親会を設定しても良いですね。

そうしてできた繋がりは、駐在員候補の人のネットワークを拡げることに繋がるだけではなく、その人のモチベーションを高める(維持する)ことにも繋がります。

海外駐在員の作り方3. 
社外の価値観に触れる

今の仕事の進め方の常識が、一歩社外に出たときにそれが常識であるとは限りません。

特にプロパー社員の方にとっては初めて社会人として覚えたその業務・仕事の進め方・また専門用語は他社で当たり前に使われているものかというと、そうではないことの方が多いということに気付いていないケースが多いです。

さらに、会社で評価され、業績を上げている人ほどその常識が他では通用しないことを失念しがちです。優秀だからこそ、今のやり方が正しいと思い込んでしまうのです。同じ会社であっても本社と海外子会社でも異なる場合があります。

海外駐在員として派遣された際に、仕事上の常識の違いに戸惑わないためにも、日本にいるうちから積極的に同業者・同職種交流会などへの参加を促して、他社の「普通」を知ってもらうようにしてください。

なかなか外部との交流をしたがらない場合には、学生時代の友人と話すことでも構いません。社外の常識・価値観を早い段階から取り入れることができることで、物事を広い視点で考えることができるようになるでしょう。

海外駐在員の作り方4. 
簿記3級レベルの会計知識

「海外駐在員はマルチタスク」と言われるように、海外駐在員は製造や営業といった自身の専門分野以外の業務も担わなければなりません。その際、最も苦労するのが会計です。

とは言え自力で決算ができるほどの知識は必要なく、本社の経理部門や現地の会計事務所と円滑にやりとりができる最低限の知識で充分です。(目安としては簿記3級レベル)

そのため駐在員候補の方には、資格取得にかかる費用を負担するなどといった、会計知識を得るためのサポートがあるといいでしょう。
会計知識をもとに財務分析を行うスキルを身につけると、それは国内・海外を問わず、ビジネスパーソンとしてのキャリアの可能性を大きく拡げることにもなり、長い目で見た時、会計知識を持った人が社内に増えることは、貴社の強みとなるはずです。

海外駐在員の作り方5. 
英語以外の語学習得

英語に加えて、貴社が展開している海外拠点のある国の言語を習得している人は、その国の駐在員に選びやすいのではないでしょうか?
海外拠点は必ずしも英語圏とは限りません。実際に日系企業の海外進出国ランキングは、以下のようになっています。

1位:中国
2位:アメリカ
3位:タイ
4位:インド
5位:ベトナム

上記のように、上位5か国のうち4か国は第一言語が英語ではない国です。

日系企業の海外拠点で働くナショナルスタッフの中には日本語や英語が堪能なスタッフがいたり、企業によっては通訳の方が専任で付いてくれたりすることもありますが、中には母国語しか話すことができないスタッフがいることも少なくありません。

特にオフィスではなく工場で働いているナショナルスタッフの大半は母国語しか話すことができないため、工場勤務になる場合、スタッフとコミュニケーションを取ることができることは大きなアドバンテージになります。
また営業として海外拠点に行く場合には、日系以外の企業との商談の場面もあります。特に最近では日系企業のお客様が日系向けのビジネスだけでは立ち行かなくなってきて、現地マーケットにもアプローチしていく必要が出てきているという話をよく耳にします。
語学学習のための費用を一部負担するなど、積極的に英語以外の語学学習を促す施策を立ててみると良いかもしれません。

まとめ:海外駐在に行きたい若手社員は多い

意外と若手社員が本気で海外駐在に行きたいと思っていることに気付いていない場合が多いのではないでしょうか?

日頃お客様と話をする中で「海外駐在に行きたいと思う若手が少なくなってきている」という話をよく耳にする一方、当社のご登録者の中には「今の会社ではなかなかチャンスが巡ってこないので、海外勤務を希望して転職活動を行っている」という方が数多くいらっしゃいます。

チャンスがある企業には海外駐在に行きたい人が少なく、海外駐在に行きたい人が多い企業にはチャンスがあまりない、というミスマッチが起こっているのも確かだと思います。
ただ、推測するに、本来意欲も語学力もある従業員がいるはずなのに、会社(人事部)がそのことを把握していないだけではないか、と感じることがあります。
経験が足りないからといって駐在要員から外してしまっている候補者が、ここにはチャンスがないと言って辞めてしまうのを仕方のないことだと思っていませんか?まだ貴社内で取り組むことができることは残っているはずです。

この記事の著者

この記事の筆者

佐原 賢治

海外進出支援室 室長


大学卒業後、一貫して「人材採用」に関する業務に従事。現在はJAC Recruitmentのマーケティングスペシャリスト、およびアナリストとして活動中。専門分野は『日本企業のグローバルビジネスと人材戦略』で、年間4~500社の経営者・海外事業部長・人事部長らとお会いして、国内外における人材採用に関するコンサルテーションを行なっている。また同テーマに関する定期的なリサーチを行ない、その結果をメディアや自治体・金融機関等が主催するセミナー等で発表している。

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