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外国人材採用

各社の事例に学ぶ高度外国人材採用の重要論点-第2回 各社の事例に学ぶ高度外国人材採用の重要論点-第2回

高度外国人材採用の重要論点―第2回
海外拠点の人材交流にインターンシップは有効?
確実に採用するには?

高度外国人材採用の重要論点―第2回
海外拠点の人材交流にインターンシップは有効?確実に採用するには?

ケース-2:大手製造業(従業員数:10,000名以上)

 相談

「当社は海外に複数の研究開発拠点をもち、将来的には拠点間の人材交流を行う予定です。

日本では将来的に海外拠点でも活躍できるような外国人材を採用したいと考えているのですが、そのパイプラインとしてインターンシップ制度は有効でしょうか?また確実に採用に繋げるためにはどのようにすればよいでしょうか?」

 回答

外国人材に限らず、採用直結型のインターンシップは基礎能力の高い優秀人材を採用する手段として注目されています。

その分だけインターン生の獲得競争は激化しているため、学生にとって魅力的で、かつスケジュール上も無理のないプログラムを企画できるかが重要です。

インターン受け入れのノウハウについては、インターネット上で様々な情報を入手することができますが、ポイントを整理すると以下6つが大事です。

  1. 求める専門分野に応じて大学をターゲティングした上、大学の関係者との関係を構築する
  2. 学業との両立が可能な時期・期間を設定する
  3. 相互に有益なプログラム(就業体験)をデザインする
  4. 受入れ態勢を整える(最終的な目的が人材確保であることを認識として共有した上で役割分担やフローを決める)
  5. 終了日以降のフォロー体制を作る(終了時の明確なフィードバックと、その後に連絡を取り続ける関係作りが重要)
  6. 丁寧な振り返りを行い、改善を重ねながら根気強く続ける

当社でも高度外国人材の紹介(採用の斡旋)は日常的に行っているものの、その専門はキャリア採用であるため、直接的な外国人留学生やインターン生の紹介実績はありません。
よってここでは日々多くの企業を訪問し、組織の国際化や海外事業要員の確保に関してお聞きする生の声をもとに補足(解説)していきます。

まず「1:大学のターゲティング・大学関係者との関係構築」について、大学とのパイプというと就職課(キャリアセンター)を思い浮かべる方が多いと思いますが、それに加えて留学生課や国際交流センターといった、留学生が入学前後から関わりをもつ部署とのパイプを作ることを忘れてはなりません。

留学生の中には、日々の生活相談の延長で、就職活動の相談も就職課ではなく留学生課のみに行う人もいますし、留学生の意向や就職事情・卒業後の状況などについてより多くの情報を持っているのは留学生課です。

また「4:受け入れ態勢を整える」については、それが学生側にとって、就職先としてその会社を選ぶかどうかの最も大きな判断基準の一つであることを忘れてはなりません。
各種制度やキャリアパスといったハード面や、社内風土(ソフト面)の両面で、外国人材である自身の可能性を活かすことができる環境かどうかがシビアに判断されます。

配属部署の実務的なコミュニケーションを英語で行うことができるのは当然として、体調不良などの際に、気持ちの面も含めて安心して英語で相談できる人がいるかどうかも重要です。

そして何よりも重要なのは「6:丁寧な振り返りを行い、改善を重ねながら根気強く続ける」ことです。

インターン生に限らず、外国人材採用は初年度から目標通りに採用ができ、その後彼らがすべて定着して戦力化されるわけではありません。
「充分な応募がなかった」「インターン後に選考プロセスへと進められなかった」「採用内定を出したが辞退された」「入社した外国人材が早期に退職した」「慣れてきたと思っていた矢先に突然退職した」というように、あらゆるプロセスで“想定外”が起こります。
外国人材採用は、それらを偶然や他責と捉えず、自責領域で改善のヒントとする、その積み重ねによって人材確保のパイプラインとして定着するのです。

おわりに―――

外国人材の採用・戦力化・定着は、受け入れ態勢に強く依存します。グローバルビジネスを強化したい経営者・組織を国際化したい人事・人材不足を解消したい海外事業部、誰か一人の思いや頑張りだけでうまくいくものではありません。
関係者で十分な対話を行って意思統一と役割分担を行なうこと、また都度の振返りによってPDCAサイクルを回し続けること、そしてあきらめない根気強さが必要です。

一方で、ミックスカルチャーの環境下で事業や組織をマネジメントした経験をもつような人材の存在は、様々な課題を解決する上で助けとなります。
マネジメント層の中途採用募集を行う際には、あえて英語力や異文化対応力を併せ持つ人材を採用しておくことで、組織の国際化や多様化(ダイバーシティの促進)が格段に進めやすくなります。

この記事の著者

この記事の筆者

佐原 賢治

海外進出支援室 室長


大学卒業後、一貫して「人材採用」に関する業務に従事。現在はJAC Recruitmentのマーケティングスペシャリスト、およびアナリストとして活動中。専門分野は『日本企業のグローバルビジネスと人材戦略』で、年間4~500社の経営者・海外事業部長・人事部長らとお会いして、国内外における人材採用に関するコンサルテーションを行なっている。また同テーマに関する定期的なリサーチを行ない、その結果をメディアや自治体・金融機関等が主催するセミナー等で発表している。

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